澱粉科学
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CM-セルロースおよびヒドロキシアパタイトに結合させたグルコアミラーゼの性質と利用
福井 俊郎中川 千か子
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1972 年 19 巻 2 号 p. 51-56

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抄録

 Endornyces sp.IFO 0111より精製したグルコアミラーゼ〔EC3 .2.1.3.〕を,pH4.0においてCM-セルロースと結合させた。結合した状態の酵素は,遊離状態での活性の2.5%以下の活性しか示さなかった。また結合した状態では,熱や尿素に対する安定性が低下していた。しかしながら,懸濁液のpHを6.0にすると酵素は完全に遊離するので,反応の前後にpHを調整するだけで,酵素を容易に回収して再使用できることを見いだした。グルコアミラーゼをヒドロキシアパタイトに吸着させると,アミラーゼ活性は約10%であったが,マルターゼ活性は45%を保持していた。結合によって,可溶性デンプンに対するKm値もマルトースに対するKm値も上がったが,可溶性デンプンに対するVmaxは非常に減少するのに対し,マルトースに対するVmaxはほとんど変わらなかった。また,ヒドロキシアパタイトに結合することによって,この酵素の熱安定性は増大した。いずれの結合グルコアミラーゼも,高濃度の糖の存在下で乾燥することによって,より安定な粉末とすることができた。 本研究に用いたEndornyces酵素剤とBacillus subtilisより得た結晶α一アミラーゼは,それぞれ松谷化学工業株式会社と長瀬産業株式会社より供与されたもので,感謝の意を表する。本報告の要旨は,澱粉工業学会大会(昭和45年5月9日,東京)において講演した。

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