抄録
Aerobacter aerogenesの変異株から得られた菌体外アミラーゼは,硫安塩析,DEAE-セルロースカラムクロマト2回,Sephadex G-100によるゲル濾過によって培養液上澄の1100倍の比活性まで精製された.この段階で,ポリアクリルアミド-ディスクゲル電気泳動的に単一なバンドを示し,SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動とゲル炉過におけるその酵素の分子量は,それぞれ65,000,48,000であった.また,ポリアクリルアミドゲルによる等電点焦点電気泳動では,その酵素は三つのパンドに分かれ,しかも,そのパンドはすべてアミラーゼ活性を有し,それぞれの等電点は,7.20,7.60,7.80であった. この酵素は,至適温度52℃,至適pH7.0,また,pH安定性は,pH5.0~10.0の範囲で安定であり,温度安定性は,50℃以下で安定であった.また,カルシウムイオンの存在下で耐熱性は約5℃上昇した. 種々の基質に対するこの酵素の作用を検討した結果,この酵素は,澱粉,アミロース,アミロペクチンに作用して,エキソタイプにマルトヘキサオースを生成したが,サイクロデキストリン,プルラン,マルトース等には作用しなかった.また,この酵素は,アミロペクチンやグリコーゲンのβ-アミラーゼリミットデキストリンに作用して分岐オリゴ糖を生成した.その他,この酵素の種々の基質に対する反応初速度等について検討した結果,この酵素は,二,三の性質を除いて細胞壁結合型酵素と同じ酵素化学的性質を有していた.