1986 年 33 巻 1 号 p. 29-33
イオン交換樹脂に固定化されたCD生成酵素のプラグフロー型リアクター (plug flow reactor) を使用してCDの連続生成に関する研究を行った.
最初にCD生成酵素固定量の異なるイオン交換樹脂に基質濃度と通液流速をそれぞれ変化させてCDの生成率を検討し, ついでそれらの樹脂に対する再生固定化を繰り返してCD生成能を検討した. 最後に30日間の連続通液を行ってCD連続生成実験を行い実用化への検討を行った.
結果として, 基質通液量に比して固定量が大きすぎるとCDの生成量が減少する. これはCD生成反応以外のCGT-aseによる分子間反応が起こるためと考えられた. したがって良好なCD収率を得るためには, 酵素固定量に相応したそれぞれの通液流速が存在する. 30日間の連続CD生成実験では, 21日目にCGT-aseの活性が半減したがCGT-aseの活性低下に相応した適正な基質流速を調節すれば一定のCD生成量が得られることが判明した. このイオン交換樹脂に固定化されたCGT-aseによる連続CD生成では, 回分法の約5倍の酵素量を必要とすることもわかった. これはnative酵素に比較すると固定化されるため活性収率が落ちることによると考えられた. 再固定化は非常に容易であった.