抄録
嗜好性の低い米から調製した米飯は,嗜好性の高い米の米飯と比べて,硬さ,粘りおよび光沢の官能評価が劣っていた.機器分析から,嗜好性が低い米飯は,米飯糊化度が低く,米飯の粘りおよび光沢が弱く,熱水可溶性澱粉の生成量が少なく,硬いと特徴づけられた.これらの結果は,低食味米に共通する特性が,硬くて粘らないテクスチャーと,光沢がない外観であることを示唆する.米飯の硬さに関与する主な要因は,米粒全体の糊化度の低さであり,粘りと光沢の低さに関与する主な要因は,熱水可溶性澱粉の生成量が少ないことであると結論する.