Journal of Applied Glycoscience
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グリコシダーゼを用いるオリゴ糖の合成研究
藤本 浩
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2000 年 47 巻 1 号 p. 99-104

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抄録

 最近,糖タンパク質や糖脂質などの複合糖質糖鎖が生体分子間における認識の調節を担っていることが明らかになってきている.このような糖鎖の果たす役割を明らかにするために,糖鎖の効率的な合成法の確立が望まれている.そこで,多種多様な構造をもつ複合糖質糖鎖を構成するオリゴ糖のグリコシダーゼの二つの反応(加水分解の逆反応および転移反応)を用いる合成法の研究を行った.加水分解反応の逆反応によるオリゴ糖の合成において,バッチ法では種々の結合を有するオリゴ糖が生成したが,カラム法では,酵素の基質特異性に従い,オリゴ糖が位置選択的に得られた.また,転移反応においても高い基質特異性を有する酵素を用いるか,受容体のアノマーを変えることにより,目的の結合を有するオリゴ糖が位置選択的に合成できることを明らかにした.以上のように,グリコシダーゼの移転反応と加水分解の逆反応とを使い分けることにより多種多様な構造をもつ複合糖質糖鎖の部分構造であるオリゴ糖ブロックの合成が可能であることが明らかになった. 

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© 日本応用糖質科学会
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