地下水をその水道水源として利用している熊本地域では,地下水資源の持続的な利用のための様々な取り組みを実施してきている。過去30年以上にわたる地域自治体による調査研究と観測により火砕流帯水層の広域地下水流動の詳細が把握されると共にその長期低減傾向が把握され,それに対する対応策である越境地下水管理としての転作水田水張り事業が実施され良好な成果が確認されつつある。これを踏まえ熊本県においては,これまでの地下水保全条例を改定して新たに地下水揚水許可制が導入されそれを運営するための新たな組織が設立された。この地下水条例は,特段の地下水災害は存在していない地域であるにも拘らず地下水資源の持続的利用のための保全措置として施行された全国で初めての採取規制条例であることに特徴を持つ。