大気濃度の分布を理解することは,SF6による地下水年代推定の生命線である。日本国内の大気SF6濃度の空間分布を明らかにするために,東京・名古屋・大阪の三大都市と都市域から離れた中部地方の山岳地域において大気濃度の観測を実施した。すべての観測地点の濃度は北半球の清浄大気の濃度を超過していた。東京・大阪・名古屋・中部地方の山岳地域の平均超過率はそれぞれ103%,52%,30%および15%であった。これらの超過は3~17年の見掛けSF6年代の過小見積もりを生じさせるため,日本でSF6による地下水年代推定を実施するためには大気濃度の補正が必要である。