2017 年 59 巻 4 号 p. 355-368
中国地方の中山間地域の地下水から高い塩化物イオン濃度が検出され,この地下水を使用した電気温水器等が錆等により短期間で故障した。電気温水器は一般に耐久性に優れている銅等が用いられているが,この故障原因と塩化物イオンとの関係は高いものと考えられた。
本研究は,地下水に含まれる塩化物イオンと電気温水器の故障との因果関係を整理するとともに,簡易な腐食促進試験により塩化物イオン濃度に依存する銅の腐食度及び耐用年数との関係を簡易的に求めた。その結果,耐腐食性のある銅は,高温多湿状態においては,低い塩化物イオン濃度(約20mg/L)によっても10年程度で腐食が生じる可能性があることが分かった。