2019 年 61 巻 1 号 p. 65-73
福島県北部沿岸から内陸部を対象として実施している調査地点の中から,津波の浸水被害を受けた地域の特徴的な2地点の湧水を例として挙げて,時間経過に伴う水質等の変化について示した。両地点のECや水温,溶存成分,安定同位体などの変化の結果,比較的,地下の浅い部分を流動していると思われる湧水では津波の影響が水質にもあらわれていたが,影響は徐々に減少していることが示された。一方,より標高の高い内陸部で涵養されたと予想される滞留時間の長い湧水では津波の被害は殆ど生じておらず,震災以降ほぼ一定した水質組成を示していることが明らかとなった。沿岸域における復興事業などに伴う水質変化などを把握するためにも,継続的な調査が重要であると考えられる。