2016年熊本地震による地下水への影響を把握するため,震源ならびに地震断層周辺の湧水16地点を対象に,本震発生後から主要イオン及び金属元素の濃度測定を開始した。地震前の濃度との比較から,Al,V,Mn,Fe は地震直後に濃度が増加し,その後,低下したことが明らかになった。こうした挙動は,地震動によるAl,Mn,Fe のコロイドとしての放出や岩石由来のV の溶解で一時的に地下水中の濃度が顕著に増加した後,それらの効果が弱まり,かつ,濃度の低い山体地下水が混合し希釈されたことが原因と推察される。1年8ヵ月間の観測の結果,これらの金属元素の濃度は地震発生から1 年余りで概ね定常状態へ近づいたと判断される。