2021 年 7 巻 2 号 p. A_133-A_141
降雨時は制動距離の伸長や視界不良等の晴天時と比べて運転条件が厳しくなる.本研究では,高い時空間分解能を有するXバンドMPレーダを主とした雨量観測ネットワークであるXRAINのデータを利用する.アメダス雨量計とXRAINのデータを比較すると,時間的,空間的なずれ,降雨強度のずれが顕著な場合があるため,高速道路上の雨量を捉えるためにはXRAINのデータの有用性を示した.首都高速道路上の速度分布を分析すると,車両速度は降雨強度から非線形な影響を受け,低い降雨強度ではその増加による速度低下は比較的大きいが,強い降雨強度ではこれが増加しても速度低下は顕著ではないことを示した.またこの傾向は,曲線部でも同様に見られるが,曲率が大きいほど低い降雨強度での速度低下が少ない傾向が見られることを示した.