地下水学会誌
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論文
越後平野G 1 層中の地下水流動と水質形成
町田 功坂東 和郎藤野 丈志五十石 浩介野内 冴希小西 雄二井川 怜欧松本 親樹バトデンベレル バヤンズル福本 幸一郎
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2023 年 65 巻 3 号 p. 221-254

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抄録

本論文では,越後平野全域に分布する被圧帯水層であるG1層中の地下水の広域的な流動と水質形成を論じた。G1層は長岡では地表付近に分布し,新潟市内では深度160 m に達する。本調査により,長岡では越後平野の他のエリアと比べて地下水流動は活発で,深層地下水がG1層を涵養することが明らかになった。また,燕,三条,吉田周辺にて分布する高Cl濃度の地下水には,最終氷期に涵養された古い地下水と,地下水年代が70年未満の若い地下水があることが分かった。これは古い地下水が分布する帯水層に新しい地下水が涵養されたこと,そしてその水質形成には海成層の存在が大きく影響していることを意味する。今日までG1層中に古い地下水が残留している理由は,最終氷期終了後の海進に伴う動水勾配の減少と,G1層が難透水性の地層によって覆われたことが原因と考えられる。

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© 2023 公益社団法人 日本地下水学会
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