2025 年 67 巻 3 号 p. 339-346
水の浸透作用によって砂の骨格が破壊し,噴砂が生じる浸透破壊に関するこれまでの研究では,主に浸透破壊の生じる動水勾配や浸透流速を把握することに焦点が置かれてきた。しかし,浸透破壊後の地盤や土構造物の状況を予測するには,浸透破壊時の土粒子の輸送現象を把握する必要がある。本研究では,鉛直上向きの浸透による浸透破壊の際に,浸透流によって運ばれる砂の挙動を室内実験によって計測した。実験結果からは,土骨格の移動を伴う場合,浸透水と土骨格の相対速度はダルシー則に従うことが示され,透水係数を用いて砂に作用する浸透力を与えることで,鉛直方向の力のつり合いに基づいて,良好に砂粒子の移動速度を推定できることが明らかとなった。