抄録
本研究は,関節リウマチとともに生きる地域高齢者の健康観を明らかにすることを目的とした.倫理的配慮を行ったうえで,現在地域で療養生活を送っている65歳以上の高齢関節リウマチ患者14名に対し半構成的面接を実施し,エスノグラフィーの手法を用いて質的帰納的に分析を行った.その結果,関節リウマチとともに生きる地域高齢者の健康観のテーマは『今の自分を大事に生きる』であった.健康観を示すカテゴリーとして,【この状態がいつまで続いてくれるか分からない】,【今の自分はまだ幸せな方】,【どうにもできないことはもう仕方ない】,【今できていることを大事にしたい】,【自分の基準でやっていく】の5つを抽出した.本研究の結果より,高齢リウマチ患者が自己の現状を肯定的に捉えることを支え,患者が独自に有する生活の基準を理解し援助していくことで,健康への主体性を引き出していく看護援助の必要性が示唆された.