2006 年 41.3 巻 p. 289-294
宮崎市では平成17年5月に九州最大級の大型商業施設(イオン宮崎SC)が市街化調整区域内で開業した.本施設の立地にあたっては,同市の他計画(総合計画,都市計画マスタープラン,中心市街地活性化基本計画)や,県の市街化区域及び市街化調整区域の整備,開発又は保全の方針(以降,整・開・保)との整合性,周辺市町村との関係,開発許可に至るプロセス等に多くの課題を残した.以上の問題認識に立ち,本研究では,1)既往の研究,公表資料および著者らが収集した資料を踏まえながら,宮崎市市街化調整区域(以降,調整区域)内での大型SC立地許可に至るプロセスを年表として整理し,宮崎市による許可プロセス上の特徴を概観した.次いで,2)特に総合計画審議会(総計審)や都市計画審議会(都計審)と行政事務局との関係に着目し,諮問機関の一般的な設置目的とされているa)民意の反映もしくは行政の民主化,b)行政における利害調整,c)行政の専門化への対応5)の観点を踏まえ,今回の事例における審議会等の課題を抽出した.また,3)以上に基づき,都市政策の「手続き」から見た今後の審議会のあり方を考察し,提案した.