老年看護学
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術後せん妄の誘発因子に対する高齢患者の反応
山口 留美小岡 亜希子陶山 啓子
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2008 年 13 巻 1 号 p. 13-22

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抄録
本研究は,手術を受けた高齢患者がせん妄誘発因子に対して示した反応と術後せん妄の発症の関係を明らかにすることを目的に,基本特性,誘発因子,および誘発因子に対する反応と術後せん妄発症の有無を調査した.対象者は52名で,術後せん妄の発症率は28.8%であった.術後せん妄の発症に関係が認められた項目は,基本特性では,「性別」,「年齢」で,誘発因子の有無では,「硬膜外チューブの挿入」の1項目であった.誘発因子に対する反応の項目では,「膀胱留置カテーテルの不快感」,「硬膜外麻酔チューブの不快感」,「手術当日の床上安静の苦痛」の3項目で不快感や苦痛を訴えた者に術後せん妄の発症が有意に高い結果であった.膀胱留置カテーテルに対する反応を詳細に分析した結果,発症群では膀胱留置カテーテル挿入の状況について看護師の説明を理解できず同じ訴えを続け,非発症群では看護師の説明を理解していた.誘発因子に対する不快感の有無あるいは不快感の訴え方によって,術後せん妄の兆候を早期に発見できる可能性が示唆された.
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