抄録
本研究は,学生がリアリティある看護者体験ができるよう,地域の高齢者ボランティアと1対1でフィジカルアセスメントを実施した演習体験を通しての学びをレポート記述内容から分析することを目的とする.結果として,【老化現象への理解の深まり】【個としてのとらえ方を理解】【加齢変化に適応した暮らしを再構築する英知への気づき】【暮らしに潜む危険性への援助の気づき】【高齢者から情報を得ることのむずかしさを実感】【1対1の実践でつかんだ高齢者の問診のコツ】【高齢者のフィジカルアセスメントにおける自己の課題を認識】【人生の先輩である高齢者への敬愛の念】【死が身近な存在であることを実感】の9カテゴリーが生成された.本演習体験は,フィジカルアセスメントに関する技術の習得および自己の課題を認識できたことに加え,高齢者の老化の実態や暮らしをリアルに実感でき,老年観,死生観を深める機会となっていた.