日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
温州ミカン果実の貯蔵生理に及ぼすO2, CO2の影響
井上 邦章邨田 卓夫
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1973 年 20 巻 12 号 p. 573-575

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抄録
片山系温州ミカン果実を空気,5% CO2混合ガス(5.3% O2:4.5% CO2:90.2% N2), 10% CO2混合ガス(5.4% O2:9.3% CO2:8.5% N2)-7.5±3.5℃に貯蔵し,貯蔵中の呼吸および果実成分の変化を調べ,温州ミカンのCA貯蔵効果について考察した。
(1) 果実の呼吸(O2吸収量)は5% CO2区,10%CO2区で抑制されたが,CO2排出は逆に促進され,その結果RQが増大し,これらの条件下で果実の呼吸に嫌気的分解が関与しているものと推察された。
(2) 果実のアルコール含量は貯蔵中漸増したが,5%CO2区,10% CO2区は増加が著しく,両区とも3ヵ月目には対照区(空気)の2倍に達した。
(3) 果実の酸含量の減少は対照区より5% CO2区,10% CO2区が少なく,糖含量の減少は大きかった。
以上のような結果から温州ミカンのCA貯蔵では庫内のCO2濃度が貯蔵効果に強く影響し,5~10%の濃度のCO2は果実の異常呼吸を誘起し,これが影響して果実のoff flavorを促すものと推察した。
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© 社団法人 日本食品科学工学会

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