老年看護学
Online ISSN : 2432-0811
Print ISSN : 1346-9665
原著
高齢難聴患者が看護師に期待するコミュニケーション
KJ法による正常聴力者との対比
森田 恵子長田 久雄
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 22 巻 1 号 p. 41-50

詳細
抄録

 65歳以上の入院患者に対し,純音聴力検査と半構造化面接を行った.正常聴力者(30dB未満)7人と高齢難聴患者(40~69dB)8人の2群にKJ法を用い構造化・図解化を行い,正常聴力者と対比し高齢難聴患者が看護師に期待するコミュニケーションの特性について考察した.

 正常聴力者は,【看護師中心という“非日常性”に困る】と感じ,【寄り添う配慮に感謝する】が,高齢難聴患者は,【動けないときに困る】が【仕方がないと諦める】場合と,【補わなくてもすごせる】【無自覚で押し通す】場合がある.いずれも,聴力障害による意思疎通の不全は【しわ寄せが自分に降りかかる】ことを意識し,多彩なストラテジーを採用し【補う工夫をする】が,聴力に応じた【こちら目線のきめ細やかな対応を望む】こと,【途中で確認できる会話がよい】ことを期待している.意思疎通不全の累積を生じさせないように意識的な対応をすることが看護師には求められていると考えられる.

著者関連情報
© 2017 一般社団法人日本老年看護学会 掲載内容の無断転載を禁じます
前の記事 次の記事
feedback
Top