老年看護学
Online ISSN : 2432-0811
Print ISSN : 1346-9665
原著
前期高齢者と後期高齢者における熱傷の特徴と「熱傷の重症度」への影響要因
菊池 奈々子山田 律子
著者情報
キーワード: 熱傷, 高齢者, 特徴, 影響要因
ジャーナル フリー

2017 年 22 巻 1 号 p. 51-60

詳細
抄録

 本研究の目的は,高齢者の熱傷の特徴と「熱傷の重症度」への影響要因について明らかにすることである.熱傷で受診した高齢者130人の診療録・看護記録を遡及的実態調査し,前期高齢者81人と後期高齢者49人で比較分析した結果,前期高齢者では「末梢神経障害」,後期高齢者では「認知症」「眼疾患」が有意に多かった(p<0.05).高齢者の熱傷の特徴として,受傷原因は「高温液体」が両者ともに3割と最多であったが,前期高齢者に比べ後期高齢者では受傷部位が「背部」に多く,熱傷面積が13.5(1.0~45.0)%と広範囲で,重症熱傷者が22.4%と多かった(p<0.05).「熱傷の重症度」を従属変数とした重回帰分析の結果,前期高齢者では「火炎」「胸部」「右下腿」「顔面」「発見者の存在」(決定係数R2=0.593)が,後期高齢者では「背部」と「火炎」(R2=0.649)が影響要因として挙げられた.今後は,日常生活上の注意喚起のみならず,感覚機能の低下や認知症に配慮した環境の工夫といった熱傷予防の必要性が示唆された.

著者関連情報
© 2017 一般社団法人日本老年看護学会 掲載内容の無断転載を禁じます
前の記事 次の記事
feedback
Top