老年看護学
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下肢閉塞性動脈硬化症バイパス手術後の二人暮らし高齢男性患者と配偶者の在宅での日常生活体験
植山 さゆり大坪 智美服部 ユカリ
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2021 年 25 巻 2 号 p. 89-97

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抄録

 下肢閉塞性動脈硬化症のバイパス手術後の高齢夫婦二人暮らしの日常生活体験を明らかにすることを目的とした.夫婦二人暮らしの3組に半構成的面接を行い,質的統合法(KJ法)により分析した.患者は[将来に備えた生活基盤の構築]を支えに,[暮らしのなかで感じる手術の効果]を得,同時に[自己決定による手術後の足を守る行動]をとっていた.一方で[将来への不安]を抱えていた.配偶者は[手術後の患者に対する肯定的な思い]を抱き,[ライフスタイルの転換]と[自分なりの健康管理]を基盤に[家庭生活の維持]をする一方で,患者同様[将来への憂い]を抱えていた.

 患者は,配偶者の協力を得ながら,けが予防,下肢の保護,定期受診,服薬管理,症状の観察という自分が生活するうえで実施可能なことを選択し,病気の悪化を予防していた.しかし,必要なことすべてが実施できるわけではないため,生活者である患者の思いをとらえ,入院中から患者と共に実施可能性の高い健康管理方法を見いだす指導が重要である.

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