地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
日本における「小売業の地理学」の研究動向とその課題
根田 克彦
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2008 年 1 巻 2 号 p. 128-141

詳細
抄録

本研究は,近年の日本における小売業に関する地理学的研究を流通地理学的研究と都市・農村地理学的研究とに区分し,後者の中で都市地理学的に小売業を扱う研究の動向を概観し,その課題を指摘することを目的とする。この分野では1990年代後半以降にまちづくりの視点を導入した研究が増加したが,都市内小売業の空間構造研究の解明を主目的とする研究は等閑視された。まちづくりと小売業との関係を明瞭にして,新たな枠組で従来の地理学の成果を発展させる必要がある。その例として,小売業というより小売店とそれに関連する都市施設を含めて,新たな視点から小売店を分析する枠組を示すことが考えられる。また,都市地理学的な研究では一部の都市圏・都市のみが対象であり,日本全体の流通構造との関係が不明瞭であった。この点に関しては,流通地理学と都市地理学的小売業の研究の双方からのアプローチが必要であろう。

著者関連情報
© 2008 地理空間学会
前の記事 次の記事
feedback
Top