地理空間
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中山間過疎地域住民のソーシャル・キャピタル維持における公共交通機関の果たす役割と課題
河原 昂平
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2023 年 16 巻 2 号 p. 63-74

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抄録
本稿は,岡山県真庭市を対象に,過疎化が進む中山間地域の住民や高齢者のソーシャル・キャピタル維持・醸成にコミュニティバスが果たす役割と,その課題を明らかにした。アンケートや聞き取り調査をもとに統計分析を行った結果,コミュニティバスの継続的な運行は,情報やネットワークの拡大など社会的なつながりを生み出し,ソーシャル・キャピタルの醸成に効果があることが示された。また,地域やコミュニティに存在するつながりやネットワークがコミュニティバスに持ち込まれれば,ソーシャル・キャピタルのさらなる醸成が期待できることも示された。現状におけるコミュニティバスは,「移動手段」と考える人が多くを占める一方で,将来的な必要性は,2 地区とも半数以上となっている。今後の高齢者の移動手段の担保や安全・安心な移動の環境構築に貢献し,移動時の「つながりの場」の提供など,重要な役割となると考えられる。
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© 2023 地理空間学会
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