地理空間
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日本における主要果樹生産の展開
内山 幸久
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2013 年 6 巻 2 号 p. 83-94

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抄録

 本稿は日本における主要果樹生産の展開,および長野県北部の小布施町大島集落の土地利用変化について述べたものである。要約すると以下の通りである。ブドウや柑橘類,クリは江戸時代にすでに栽培されていた。明治期にリンゴや,別品種のブドウ・モモが日本に導入された。日本の果樹生産は第二次世界大戦後に拡大した。しかし1970 年代後半以降に,果樹園面積,特に温州ミカン園は減少した。主な温州ミカン生産地域は西南日本に分布している。リンゴ生産の核心地は青森県西部と長野県北部である。ブドウ生産の核心地は山梨県中央部と長野県北部および東部である。モモ生産の核心地は山梨県中部と長野県北部,福島県北部である。日本ナシ生産の核心地は千葉県北西部や鳥取県東部である。小布施町最大の農業集落における詳細な土地利用変化をみると,1969 年にはリンゴ園と田が農地の大部分を占めていて,土地利用パターンは単純であった。1969年から2005 年の間に,リンゴ園が減少した。モモ園やブドウ園,クリ園はわずかに増加した。大島集落ではリンゴやブドウ,モモは集約的に栽培されているが,一方,クリはそれほど労働力を必要としていない。1992 年から1995 年にかけて上信越自動車道が小布施町西部で建設された。大島集落における上信越自動車道の東側では小布施総合公園が建設された,これらの道路や公園は大島集落では大きな面積を占めている。

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© 2013 地理空間学会
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