地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
6 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 松井 圭介
    2013 年 6 巻 2 号 p. 79-82
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/05
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  • 内山 幸久
    2013 年 6 巻 2 号 p. 83-94
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/05
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     本稿は日本における主要果樹生産の展開,および長野県北部の小布施町大島集落の土地利用変化について述べたものである。要約すると以下の通りである。ブドウや柑橘類,クリは江戸時代にすでに栽培されていた。明治期にリンゴや,別品種のブドウ・モモが日本に導入された。日本の果樹生産は第二次世界大戦後に拡大した。しかし1970 年代後半以降に,果樹園面積,特に温州ミカン園は減少した。主な温州ミカン生産地域は西南日本に分布している。リンゴ生産の核心地は青森県西部と長野県北部である。ブドウ生産の核心地は山梨県中央部と長野県北部および東部である。モモ生産の核心地は山梨県中部と長野県北部,福島県北部である。日本ナシ生産の核心地は千葉県北西部や鳥取県東部である。小布施町最大の農業集落における詳細な土地利用変化をみると,1969 年にはリンゴ園と田が農地の大部分を占めていて,土地利用パターンは単純であった。1969年から2005 年の間に,リンゴ園が減少した。モモ園やブドウ園,クリ園はわずかに増加した。大島集落ではリンゴやブドウ,モモは集約的に栽培されているが,一方,クリはそれほど労働力を必要としていない。1992 年から1995 年にかけて上信越自動車道が小布施町西部で建設された。大島集落における上信越自動車道の東側では小布施総合公園が建設された,これらの道路や公園は大島集落では大きな面積を占めている。
  • 山下 清海, 小木 裕文, 張 貴民, 杜 国慶
    2013 年 6 巻 2 号 p. 95-120
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/05
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     ハルビン市方正県は,第二次世界大戦の終戦末期,満蒙開拓団の日本人が多数亡くなったところである。と同時に,終戦後,残留孤児・残留婦人として多くの日本人が現地に残されたところでもある。1972 年の日中国交正常化後は,方正県の中国残留邦人が,家族とともに日本へ帰国し,また同郷人を日本へ呼び寄せ,方正県は数少ない「中国北方の僑郷」とよばれるようになった。本研究では,方正県における現地調査にもとづいて,方正県がいかにして在日新華僑の僑郷に発展していったのかを明らかにすることを目的とした。日中国交正常化以後,日本人による水稲作の技術指導により,方正県の水稲栽培は飛躍的に発達し,良質の方正県産米はブランド米となっている。中国残留邦人の日本への帰国に伴い,血縁・地縁関係を利用して数多くの方正県人が親族訪問,出稼ぎ,国際結婚,留学などの形で日本へ行き,日本に定住または長期滞在するようになった。日本在留の方正県出身者の人口増加に伴い,方正県在住の親族への送金などによって,日本からの資金が方正県へ流入するようになった。地元政府も,僑郷の特色を活かした発展計画を進め,方正県の中心市街地も,日本との密接な関係を示す店舗や施設が多い。
  • 中村 周作
    2013 年 6 巻 2 号 p. 121-139
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/11
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     本研究の目的は,大分県域における伝統的地域文化としての魚介類食の地域的展開とそれらの立地要因を解明することである。研究の結果は,以下のようにまとめることができる。県内各地488件のアンケート調査の結果,大分県には摂食地域の分布パターンとして,4 の大分類,すなわち,①凡県域摂食型,②広域摂食型,③特定地域摂食型,④幻となりつつある魚介料理と,その中に11 の小分類を見出すことができた。伝統的魚介類食の展開の背景には,様々な歴史・経済・文化的要因がはたらいていた。また,分布の市町村別展開をみると,高摂食地域は,比較的海に近い内陸農村地域に展開しており,中摂食地域が沿岸の都市・漁業地域に,低摂食地域が内陸奥部山間地域に展開していた。伝統的魚介類食は,貴重な地域文化である。それゆえに,その記録を残すこと,さらにそれらを使った地域振興を考えていくことが重要である。
  • 新聞間の比較分析から
    福井 一喜
    2013 年 6 巻 2 号 p. 141-150
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/11
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    本研究では,地域的な特性が情報流通に与える影響について検討するため,新聞広告を事例に,全国紙と比してよりローカルな情報流通を担う地方紙およびブロック紙をとりあげ,これらに掲載されている新聞広告の広告主を比較し,新聞広告を介した情報流通形態の地域的な差異性の解明を試みた。まず全国の各都道府県における新聞配布状況を,配布エリアの人口と全国紙のシェアから類型区分し,その上で各類型の新聞に掲載された新聞広告を対象として,特にその広告主の業種に注目して紙面分析を行った。その結果,新聞広告全体が広告市場において地位を低下させているが,個々の新聞の変化は一様ではなく,新聞広告の介する情報流通形態は,新聞の配布エリアの大都市に対する独立性と人口により地域的に異なっていることが認められた。このことは新聞間および広告媒体間における情報流通上の役割分化として認識される。
  • 飯塚 遼, 有馬 貴之, トゥジャロフ ディミター
    2013 年 6 巻 2 号 p. 155-167
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/11
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     本稿は,ブルガリアの農村中心地の1つであるバンスコを事例に,観光産業の発展と観光空間の現況,およびその構造について明らかにするものである。ブルガリアにおいては,1989 年の市場経済化や2007 年のEU 加盟により社会経済構造が大きく変化した。それは観光産業分野においても例外ではなく,市場経済の浸透や越境の自由化にともなって,大都市のみならず,地方都市や農村中心地においても観光を地域振興の軸とする動きがみられる。そのため,各地で観光地化が進展しており,地域間競争も激しくなっている。本稿では,建築物の外壁によって構成される地域景観を把握し,その地域景観を形成する観光関連施設の分布とともにバンスコの空間構造を捉えた。その結果,バンスコでは,スキーリゾートの空間的拡大が,国立公園と旧市街地という旧来独立していた観光空間を統合させただけでなく,伝統模倣的な景観と新たな観光空間を作り出していることが明らかになった。
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