わが国では,規模の小さな高校が少なからず存在している.本稿の課題は,高校教育の多様化政策・大学入試の多様化の下での小規模な公立普通科高校の教育課程を,大学教育の機会均等の観点から実証的に分析することにある.
普通科高校に関する教育課程の全国的調査データを分析した結果,小規模公立高校では,コース・類型数やその種類が少ないこと,国語,数学,英語,地理歴史,理科といった教科の単位数が少ないこと,大学入試向けの科目があまり提供されていないこと,等が解明された.これらの特徴により,小規模公立高校の生徒は,大学入試に備えることが難しくなっている.換言すれば,大学教育の機会均等の観点から問題がある.したがって,このような格差を是正することが必要なのである.