高等教育研究
Online ISSN : 2434-2343
論稿
小規模公立高校と大学教育の機会
教育課程の比較分析
山村 滋
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2008 年 11 巻 p. 185-205

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抄録

 わが国では,規模の小さな高校が少なからず存在している.本稿の課題は,高校教育の多様化政策・大学入試の多様化の下での小規模な公立普通科高校の教育課程を,大学教育の機会均等の観点から実証的に分析することにある.

 普通科高校に関する教育課程の全国的調査データを分析した結果,小規模公立高校では,コース・類型数やその種類が少ないこと,国語,数学,英語,地理歴史,理科といった教科の単位数が少ないこと,大学入試向けの科目があまり提供されていないこと,等が解明された.これらの特徴により,小規模公立高校の生徒は,大学入試に備えることが難しくなっている.換言すれば,大学教育の機会均等の観点から問題がある.したがって,このような格差を是正することが必要なのである.

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© 2008 日本高等教育学会
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