2010 年 13 巻 p. 101-112
近年スタッフ・ディベロップメント(SD)への関心が高まってきた.その背景には,職員が大学運営の主要な担い手とみなされるようになってきたこととともに,そのことと連動して職員のための学会や大学院が相次いで創設されたといった事情がある.今号の特集ではこうしたSD をとりあげ,それがもつ課題と,今後において高等教育研究としてのSD 論が向かうべき方向性について検討することを試みた.本稿では以上のような特集の趣旨とその背景を明らかにするとともに,5本の特集論文の内容を検討し,そこに指摘された今後の検討課題を整理する.そして,実践と研究との往復関係をもった学術研究としてのSD 論のさらなる展開の必要性を論じた.