本稿では,若年大卒者の仕事の変容について,3つの視点(①学卒未就職,失業,非正規雇用の状況,②就業先の企業規模,職種,賃金,③早期離職)から統計分析を行った.そこから,高卒者との比較においては,失業率も非正規雇用率も低く,また就業先は大規模企業が多いなど学歴間格差は拡大していること,一方,ブルーカラー職に就く男性卒業者が2割を占めるようになったり賃金の分散が大きくなるなど大卒内での就業実態の多様化が起こっていることが明らかになった.また,女性大卒就業者が大幅に増えていることも指摘した.こうした変容を踏まえて,大学が検討すべきことは,培うべき知識・スキルの認識を(産業)社会と共有する仕組み,女性卒業者のキャリア開発であることを指摘した.