2018 年 21 巻 p. 171-192
最近,男女平等という視点や大学ランキングにおける国際化の評価が低いこと,そして,組織の活力やイノベーション強化の議論を背景にして,日本の高等教育の多様化を一層推進すべきであるという論調が高まっている.高等教育の多様化を論ずる際には,システムレベルでの多様化と機関レベルの多様化の視点があるが,日本では,従来,「機能別分化」の議論に代表されるように,システムレベルでの多様化の議論が多く,機関レベルでの多様化の議論はあまり進んでいない.
そこで,本稿では,高等教育の多様化の「先進国」である米国の経験を整理しながら,主として機関レベルに焦点を当てて,多様化した学生にどのように対応すべきか,日本の高等教育への示唆を導き出すことを目指したい.