本稿は,近年深刻な財政難に苦しむカリフォルニア州の高等教育における公立研究大学と州議会との対立に注目し,機能別分化政策的な解釈,大学理事会と政府との葛藤を直視しない立場,政策転換自体が必要とする観点からは見出し難い,同州のモデルが含意する大学の自律性の現代的な意義を検討する.財政難の中で州民への背信ともとれる行動をとったカリフォルニア大学に対し,州議会は統制強化を試みた.だが,公的使命の遵守を求めた公権力の介入は,大学が公的使命を果たすことを一層困難にしようとしていた.こうした対立を乗り越え,旗艦州立大学が卓越性追求を維持しつつ社会的使命を果たし続けるためには,政治的独立性に裏打ちされた真正な自律性が極めて重要であったことが明らかとなった.