新型コロナウイルス感染症対策のためにキャンパスへの入構制限や授業のオンライン化がなされたことにより,授業料をはじめとする学生納付金の性格や水準が問い直されている.本稿では,大学学納金とその負担の推移を示しつつ,学納金が教育の対価として妥当な水準にあるかを大学財務データにより検討した.その結果,現状の大学学納金は教育費用に対応した水準にあるものの,家庭と学生本人に重い負担となっていることが明らかになった.入学者選抜における学力基準がなお強固であることもあって,家計は特に入学時には相当の無理をして学納金前払いに応じている.このような行動がみられるからこそ,公的負担の増額と大学の支出構成の見直しが求められる.