2021 年 24 巻 p. 111-130
大学の国際化と国際教育は,学生の国際的な流動性を量的に拡大することで進展してきた.しかし,2020年初頭から始まった新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受けて,越境を伴う学生の移動は休止している.本稿では,パンデミック以前の国際教育の状況と課題をレビューしたうえで,コロナ禍で急速に広がっているICTを活用した国際教育交流の手法や実践例を調べる.そして,ポストコロナにおける国際教育の可能性と方向性について考察する.渡航による環境への負荷も考慮すると,ニュー・ノーマルへの対応には,物理的な国際移動に頼らない新しい国際教育交流の様相が求められる.ポストコロナにおける大学の国際化についてどのような新機軸を打ち出せるかが,その国の高等教育の評価と魅力に大きな影響を与えるであろう.