2022 年 25 巻 p. 177-195
意思決定への教員の参加はいかなる功罪をもたらすのか.それは決定の領域によって,あるいは学長等によるリーダーシップの発揮ぶりという条件によって異なるのか.この課題を検討するため,部局長等を対象とした質問紙調査から得たデータを分析した.その結果,教授会が「教員選考」により強い影響力をもつ場合に「共同体意識」はより高いという正の関係に,一方でその「大学経営」への影響力は大学の「戦略的取組」や「全体最適」と負の関係にあることなどがわかった.また,リーダーシップは教授会の影響力よりも従属変数を説明できる度合いが高いことや,一部従属変数では両者の交互作用効果が有意であることがわかった.これらの結果から含意を読み取り提言とした.