2022 年 25 巻 p. 69-88
OECD国際成人力調査(PIAAC)の結果に関するいくつかの報告では,日本の成人の成人教育への参加は,国際的に見て低調とされている.本稿は,特に大学の学士及び修士レベルの学位取得者に焦点を当て,その成人教育参加の状況やその参加者の実態をこの調査の主に背景調査部分のデータを用いて国際比較することにより,学位取得者の成人教育参加の特徴と課題を明らかにすることを目的とする.結論として,日本における学士レベルの学位取得者の参加状況と修士レベルの学位取得者の参加状況には,有意な差があること,学士レベルの学位取得者のうち,女性は学習意識やキー・スキルの習熟度の高さにもかかわらず,成人教育への参加が男性よりも低調であることが示された.これらは,成人教育への参加率が高い他の国とは異なる日本の特徴であり課題であると考えられる.