高等教育研究
Online ISSN : 2434-2343
特集 大学は生涯学習社会に参加できるか
働く女性の自己学習
特性としての〈制約〉と〈複合学習本位制〉
濱中 淳子
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2022 年 25 巻 p. 89-107

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抄録

 本稿は,働く女性が取り組む自己学習の実態と課題を実証的に描き出すものである.質問紙調査データの分析から描かれたのは以下の3点であり,いずれも女性が抱える「悩ましさ」として提示される.第一に,約半数の社会人が成長を目的とした自己学習を試みているが,女性は男性に比べて学習に取り組んでいない.第二に,女性の自己学習者比率の低さは,就業形態や最終学歴,家族(子ども)といった個人を超えた要因によってもたらされたものだと理解される.この第二の点を「制約」と呼べば,第三の点は気後れにつながる悩ましさとして抽出された.つまり,女性の自己学習はペイするが,正規女性の場合,経済的効果を享受するには複数の学習に取り組む必要がある.本稿ではこれを「複合学習本位制」と呼び,その問題性を指摘した.

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© 2022 日本高等教育学会
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