2025 年 28 巻 p. 31-56
近年日本の大学において,ダイバーシティ宣言等の策定を通じ,多様性・包摂に向けた積極的な姿勢を示す動きがみられる.こうした動きを後押しする要因の一つには,国境を越えた学生の流動性の高まりによる学生の多様化がある.一方国内のダイバーシティ関連施策の中心は女性研究者支援にあり,学生に関する議論は十分に行われていない.また国際化と多様性・包摂は,共に高等教育における重要な課題であり,相互に重なり合う領域であるが十分に連動しておらず,多様性を巡る矛盾した状態を生むことが指摘されてきた.
本稿においては,ダイバーシティ宣言の策定状況に注目しながら日本の高等教育領域における多様性・包摂の取り組みを整理し,留学生等を含む多様な学生を包摂するキャンパスの実現に向けた課題を確認する.