2005 年 8 巻 p. 157-181
本稿は,国境を越えて教育を提供する英国・豪州の大学を分析対象とし,グローバル化論者が主張するように,国民国家の枠組みによる教育システムがこれらの大学を統制し得なくなっているのか,との問いに迫ることを目的とする.英国ノッティンガム大学及び豪州モナシュ大学のマレーシアへの進出事例の分析を含め,この課題の分析結果は,出自国や受入国は,国境を越えて教育を提供する大学というアクターの戦略的行動に直面し,質保証等の政策目的による統制手段を放棄するどころか,むしろ新たなアクターに対応できる国家の機能を整備していることを示唆する.
この分析結果は,日本の大学の海外校及び外国大学日本校を認めようとしている日本の政策転換にとって,重要な含意を持つ.