国際ビジネス研究
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研究論文
海外子会社の企業家活動プロセス
海外子会社マネジャーによる正当性の危機の克服を焦点として
渡邉 万里子
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2015 年 7 巻 2 号 p. 105-120

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抄録

 本稿の目的は、ダイキンヨーロッパ社の事例を通じて、制度論的視点から見た海外子会社の企業家活動プロセスを解明することである。本稿では、分析枠組として海外子会社マネジャーの行動と多国籍企業内部・現地市場の制度的文脈の相互作用に焦点を当てて、海外子会社のイニシアティブの進展プロセスの分析を行っている。ダイキンヨーロッパ社の新規事業開発事例の分析結果から、海外子会社のイニシアティブが進展するプロセスでは、多国籍企業内外の多様なステークホルダーの利害・規範・信条の不一致や矛盾、解釈の違いが原因となって生じる「正当性の危機」が問題となることが明らかになった。このような危機に対し、海外子会社マネジャーは、活動の段階や次元に応じた異なる行動(協力者の選択的動員、利害関係の再構築)を通じて克服し、多様なステークホルダーの理解や支援を能動的に獲得していくことが確認できた。以上の発見事実は、海外子会社マネジャーの戦略的行動が多国籍企業内外の制度的文脈に影響を及ぼす可能性を示しており、海外子会社の有効なマネジメントに対する重要な示唆を含んでいることが考えられる。

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© 2015 国際ビジネス研究学会
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