2018 年 33 巻 4 号 p. 313-324
目的
ミャンマーが軍事政権下に置かれていた時代においては援助国による支援活動は停止又は限定的な支援に留まっていたが、この状況は2011年の民主化の動きとともに徐々に打開された。ミャンマー政府は2013年にミャンマー開発協力フォーラムを開催し、開発パートナー(援助国、国際機関、国際的な基金等を含む)に今後の開発の方向性を明示した。保健医療分野については政府予算を増加させ、SDGsのターゲットであるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成を今後の目標として掲げるとともに、その具体化に向けて「国家保健計画2017-2021」を2017年に策定した。これらの環境の変化に応じ、開発パートナーが考慮すべき事項について考察を試みた。
方法
現地調査及び文献検索により政府と開発パートナーの動向を調べ、UHCの達成にむけて検討が必要な事項と開発パートナーが考慮すべき事項を整理した。
結果と結論
MDGsの下では主に母子保健や特定の疾患対策に焦点が置かれ、特に保健医療サービスの強化に開発パートナーの支援が集中する傾向があった。UHC達成を目標として掲げ、全ての人々に経済的な負担が無く保健医療サービスを展開していくためには、ミャンマー国全体の保健医療における課題を分析した上で総合的な医療政策の策定及び実施を行うことが必要となってきている。この変化に対し開発パートナーはミャンマー国の医療政策課題に対応した形で支援を具体化していくことが必要である。