目的
在留ベトナム人労働者が、母国から日本へ移り住む事による生活習慣と疾病リスク因子の変化を検討した。
方法
2022年1月〜3月に、在留ベトナム人労働者15名へ、食事の変化を中心とした日常生活習慣について半構造化インタビューを行い質的に分析した。
結果
参加者は、男性6名、女性9名、平均年齢は25.5歳であった。在留資格は、技能実習9名、特定活動2名、技術・人文知識・国際業務4名で、在留期間は6ヵ月から8年の範囲であった。参加者の語りから、来日後の生活習慣の変化を示す100のサブカテゴリと31のカテゴリが抽出され、来日後の栄養バランスの偏り、果物摂取量の減少、間食は菓子、飲酒の機会が減少、運動量の減少といった、生活習慣の変化が確認された。
日本での忙しさは、食事の変化や運動量減少の理由として語られた。また、来日後の様々なストレスが、生活習慣の変化の原因であると語る者もいた。加えて、本研究の参加者はベトナムで大きな病気は未経験であるが、来日後には、体重の変化、体調不良や自覚症状、脂質異常・高血圧・肝機能障害・貧血等健康診断の異常所見といった、疾病リスク因子に関連する語りがあった。
結論
本研究では、参加者の食生活や日常生活習慣の変化と来日後の体重増加や脂質異常などの健康診断の異常所見との関係が推察された。来日に伴う彼らの疾病リスクに関連した生活習慣の変化を知り早期に支援することが、非感染性疾患の発症や悪化を予防する上で重要である。