聴覚失認者(障がい者)は、現在、日本で用いられる緊急放送の注意喚起のためのチャイムを正しく認知できているのだろうか。そのチャイムの効果を確かめるために障がい者のべ78 名と対照として非障がい者のべ43 名が参加する2回の視聴覚実験を行った。被験者への課題としては記号としてのアルファベット(AからEまで)とトランプ記号を憶えること、2回目の実験ではさらに一桁の足し算・引き算の暗算を加え、各チャイムの注意喚起力を比べた。1回目の実験では障がい者と非障がい者の間に有意差はなかったが、2回目の実験では有意差が表れ、中・重度障がい者と非障がい者の差が顕著であった。そして実験を重ねる内に有意差は少なくなった。聴覚失認者にとって負荷が軽いか繰り返しがあれば、現在のチャイムは有効である。