社会言語科学
Online ISSN : 2189-7239
Print ISSN : 1344-3909
ISSN-L : 1344-3909
ショートノート
外国語教室における談話標識のメタ的利用について―英語で英語の授業を行う教師の教室談話分析から―
石野 未架
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 19 巻 1 号 p. 166-173

詳細
抄録

本研究の目的は,学習者と母語(日本語) を共有している英語教師が英語で英語の授業を行う際に用いる言語使用上の方略を明らかにすることである.特に学習者の母語と学習目標言語のコードスイッチング(CS) が異なるコミュニケーションフレーム(母語=weコード,目標言語=theyコード) に用いられる事例に着目し,CSによるフレームシフトがどのように行われ,英語によるtheyコードフレームがどのように維持されるのかに焦点をあてて分析を行った.ある公立中学校で収集した英語の授業6回分の録画データから教室談話分析を行ったところ,教師の言語使用について次のような特徴が明らかになった.それは,1) 母語から英語へのCS発話のうち,平均60%以上のCS発話で談話標識「okay」が挿入されること,2) CS発話文に挿入されたokayのうち,88%が授業におけるフレーミングマーカーとして機能していること,である.以上の結果から,本研究で教師が用いた談話標識okayは日本語から英語への授業フレームシフトを行う際の手続き的機能を担っていることが示唆された.結語では,このような談話標識のメタ的利用が,他の教師にも用いられ得る英語で英語の授業を行うための言語使用上の方略となる可能性を主張し,今後の研究でどのように実証されるべきかについて述べる.

著者関連情報
© 2016 社会言語科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top