社会言語科学
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台湾における「国語」と「方言」の併用とその機能的共存 : 台湾中国語と台湾〓南語のバイリンガルの一例
陳 麗君
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2005 年 8 巻 1 号 p. 151-165

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抄録
本稿は,台湾における「方言」としての台湾〓南語と「国語」としての台湾中国語との二重言語生活に認められる言語選択を左右する要因や,両言語の機能分担を自然会話の考察より追及したものである.話者間の関係変化に伴って徐々に使用言語の選択に変化が現れることから,談話におけるコードの切り替えは機能的であり,二言語にはそれぞれ異なる働きを持っていることが考えられる.そこで,二言語機能モデルを構築し解析した結果,コード切り替えによる二言語の機能分担として次のような特徴が見られた.(1)情報構造から考察すると,「国語」は主な情報の伝達に努め,「方言」には情報を焦点化する機能が見られた.(2)相互作用の機能には親疎関係的な「ウチ」と「ソト」の使い分けが見られ,前者には「方言」を,後者に「国語」を使う傾向が見られた.(3)一人称に関する感情表出は,主に「方言」に切り替えることによって行っていた.
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© 2005 社会言語科学会
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