日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会2008年年会
セッションID: S2-01
会議情報

S2:岩石-水相互作用
地殻流体の流動と流動場
*土屋 範芳
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

花崗岩に対して人工的に単一き裂を作成し,封圧下(<100 MPa)での流体流動実験を行い,封圧の上昇にともなう透水係数の変化を検討した.その結果,常圧下で10-11 [m2]程度の透水係数を示し,封圧が生じることにより,透水係数は急激に減少し,40 MPa程度では約10-13 [m2]となる.しかしながら,それ以上の封圧環境においては,透水係数は漸減となり,100 MPaの封圧下でも,40 MPaと同様に10-13[m2]程度の透水係数を示した.この花崗岩のいわゆるマトリックス透水係数は10-18 [m2]程度なので,100 MPa(地下数千m)の環境下でも,き裂が主要な流体流動場として機能していることを示している.さらに,透水係数の漸減傾向を外挿すると,下部地殻に対応する封圧環境でも,き裂の透水係数はマトリックス透水係数よりも高いことが予測される.地殻内部の流体流動は,き裂内流動が主体となる可能性がある.

著者関連情報
© 2008 日本鉱物科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top