大陸地殻の岩石、特に花崗岩質岩中においては、副成分鉱物が微量元素の貯蔵庫として存在する。貯蔵庫鉱物のうち、微量元素が鉱物の構造上主要な位置を占める(濃度がストイキオメトリーによって決まる)場合は特に重要である。その存在が、共存する他の鉱物中の当該微量元素濃度をバッファーする可能性があるからである。貯蔵庫鉱物が分解する場合、以下のような元素の再分配パターンが考えられる。(i)新たに生成した副成分鉱物が、当該微量元素の貯蔵庫として機能する。(ii)新たな貯蔵庫となる副成分鉱物は生成しないが、主要造岩鉱物に再分配される。(iii)いかなる鉱物にもほとんど分配されず、流体やメルトに分配される。副成分鉱物の利用により、従来見えなかった現象や制約条件が得られることが多々ある。副成分鉱物と、それに濃集する微量元素の挙動を取り込んだ議論が重要である。