地球表層で金属陽イオンと錯生成する酸素配位の配位子として、水酸化物イオン以外に炭酸イオン、リン酸イオン、カルボン酸イオンなど(=オキソ酸イオンとする)が重要である。これらはいずれも酸素配位のハードな配位子であるが、どんな陽イオンが水酸化物イオンとオキソ酸イオンのいずれを好むかという点について、これまで明確には議論されてこなかった。しかし、空気平衡の炭酸イオン存在下で様々なイオンの溶存種を計算すると、イオン半径の大きなイオンほど炭酸イオンを好む傾向があることが分かる。本研究ではこの系統性について、熱力学的パラメータおよび量子化学計算から検討した結果を示す。