強い衝撃を受けた火星隕石にはカンラン石が黒色化しているものが見られ,カンラン石内部に晶出した鉄ナノ粒子が原因とされている。しかしナノ粒子の詳しい形成過程や形成条件は不明な点が多い.衝撃によるカンラン石の黒色化は火星に特有であり,その形成条件を明らかにすることで火星での天体衝突現象の理解につながると考えられる.そこで我々は5つの火星隕石 (NWA1950, LAR06139, RBT04262, NWA 1068, Tissint) と1つのコンドライト(L6; NWA4719) の比較観察を行い,形成条件に制約を与える事を試みた.観察によると着色したカンラン石を含む隕石では高圧鉱物があまり見られないことがわかり,そのような温度圧力履歴がカンラン石の着色に関連している可能性が示唆された.これには高い到達圧力に起因する衝撃残留熱の影響などが強い可能性が考えられるため考察を進めて報告する.