抄録
三波川帯の別子地域に位置する瀬場エクロジャイト質塩基性片岩体中のエクロジャイトについて,Kabir & Takasu (2010)およびAoya (2001)により変成条件が提案されている.岩体北部に産出するエクロジャイトは,主要鉱物として,ざくろ石,オンファス輝石,緑れん石,藍閃石,バロア閃石,ドロマイトを含む.THERMOCALCによりT-Pを計算した.XCO2を0.005~0.2の間で変化させた時のT-Pを求めた結果,XCO2=0.03の時に,T:645-650℃,P:23-24 kbar,XCO2=0.05の時に,T:675-680℃,P:23-24 kbarとなり,大野谷地域のエクロジャイトの第2高圧変成作用と似たT-Pを示した.これは瀬場谷エクロジャイト質塩基性片岩体北部のエクロジャイト変成時に流体中に相当量のCO2が含まれていたことを示す.