LD研究
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かな文字の読みにおけるモダリティ間のバインディングの役割
小田 真実湯澤 正通則武 良英
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2023 年 32 巻 3 号 p. 181-192

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抄録

本研究は,小学校入学前の幼児を対象に,かな文字の読み,特に,拗音と促音の読みに関わる要因としてのワーキングメモリの役割について検討した。就学前幼児はオンラインでかな文字および単語の読み課題と,音韻ループ,視空間スケッチパッド,エピソードバッファの機能であるモダリティ間のバインディング能力を測定するワーキングメモリ課題を受けた。かな文字および単語における読みの正確さを目的変数,月齢,ワーキングメモリの音韻ループ,視空間スケッチパッド,モダリティ間のバインディング能力を説明変数とする階層的重回帰分析を行った。その結果,音韻ループは,文字の読み,拗音の文字の読み,拗音を含む単語の読みにポジティブに関与した。次に,視空間スケッチパッドは,文字の読み,拗音の文字の読みにポジティブに関与した。最後に,モダリティ間のバインディング能力は単語の読み,拗音および促音を含む単語の読みにポジティブに関与した。

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© 2023 一般社団法人 日本LD学会
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