景観生態学
Online ISSN : 1884-6718
Print ISSN : 1880-0092
ISSN-L : 1880-0092
原著論文
オオタカ(Accipiter gentilis)の生息に配慮したマツ林管理に関する事例研究
末次 優花菅井 理恵日置 佳之田中 一郎土居 克夫
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 25 巻 2 号 p. 235-257

詳細
抄録

オオタカ(Accipiter gentilis Linnaeus 1758)は,環境省が公表しているレッドリスト2019に準絶滅危惧として記載されている希少猛禽類である.これまで,オオタカの生息環境については日本国内及び海外の事例を基に,多数の基準等や生息環境である針葉樹人工林の管理方法が示されている.希少猛禽類の保全については生息環境をより良好に保つことが必須であり,そのためには放置型の管理ではなく,状況に応じて積極的に管理する必要がある.しかしながら,オオタカの営巣する森林において,実際に積極的に施業を実施し,好ましい生息環境の維持・改善を試みた事例はほとんど見られない.本研究では「鳥取県立大山オオタカの森」を事例研究地として,施業前後の人工林の環境を植生と鳥類の2側面から比較・評価し,森林管理のあり方について提言した.具体的には,2003年度に日本野鳥の会鳥取県支部及び鳥取大学により実施された第1回調査の結果に基づき提案された管理(アカマツの間伐及び亜高木層に達する広葉樹の除伐)が5年間施業された後,2011年度に第2回調査が実施された.その結果,オオタカは,営巣木としての大径高木が多数存在し,営巣林として林内に飛翔空間が広がるアカマツ林を選択していた.また,事例研究地周辺には田畑や伐開地など多様な環境が広がっており採餌可能域は良好であった.すなわち,農地と森林がモザイク状に分布した里地里山の景観がオオタカの営巣及び採餌環境として利用されていた.①営巣木として利用できる大径高木の育成,②林内の飛翔空間の確保を目指す森林管理は,オオタカの生息地保全と用材林育成の両方にとって適切であることが明らかとなった.

著者関連情報
© 2020 日本景観生態学会
前の記事 次の記事
feedback
Top